遊びうたとして伝わるのわらべ歌ですが、うたそのものにも、魅力を感じます。
わらべ歌は音域が狭いので、子どもの歌唱指導の導入として無理がなく、一回目の指導から効果が期待できます。
子ども達に響く声で歌わせようとすると、汚い大きな声で怒鳴ってしまうことがあります。大人は眉をひそめますが、当の子どもは、楽しくて仕方ないのです。
子どもが自ら綺麗な声で歌うには、どう、導いたらよいでしょうか。
ポイント1.
先生が綺麗な声でアカペラで歌う。
手遊び歌などを歌う時は、胸声(地声)で歌うか頭声(裏声)で歌うかあまり意識をしませんが、わらべ歌を歌う時は、出来るだけ頭声を使い、伴奏なしで聞かせます。
子どもが「きれいな歌だな、この曲はいつもの歌と何かが違うな」と自ら気付く事が大切です。
ポイント2.
イメージが沸くような言葉がけをする。
「ほたるこい」を歌った時に、こんな話しをしました。
私 「ほたるはどこにいるのかな?お水があるところ、川にいるんだよ。夜になるとピカってとても明るく光るんだよ」
子ども 「知ってる!」「見たことある」「本で見た」
私 「ほたるは甘い水と、にがい水どっちが好きなんだろうね」
子ども「甘い水だよ、美味しいもん」
私 「ほたるが、綺麗な甘い水を見つけられるように、お水みたいな透き通った声で教えてあげてね」
その後に歌った声は、本当に透き通るような歌声でした。
大きな声とか小さな声とかではなく、どんな声を出すかイメージが湧いたようです。
わらべ歌の輪唱 4歳、5歳
ほたるこい輪唱(4歳、5歳)
「ほたるこい」は、本来ほたるを捕りに行く歌なので歩きながら歌ってもいいのですが、私は簡単な動作を付けて歩かずに歌っています。
(歌詞)
ほ ほ ほたるこい
あっちの水は苦いぞ
こっちの水は甘いぞ
ほ ほ ほたるこい
(動き)
ほ ほ ほたるこい
(手を口の近くにあてて呼びかけるポーズ)
あっちの水は苦いぞ(右を指差す)
こっちの水は甘いぞ(左を指差す)
ほ ほ ほたるこい(一段目と同じ)
展開1.
2チームに分け
「ほ ほ ほたるこい」はABチーム
「あっちの水は苦いぞ」はAチーム
「こっちの水は甘いぞ」はBチーム
「ほ ほ ほたるこい」はABチーム
動きを付けるとで曲の構成が分かります。
視覚的にも美しく、子どもは目、耳、動きを通した自分の身体と、五感で音楽を感じることが出来ます。
展開2.
動きを付けながらAチームBチームで輪唱します。
輪唱が初めての子ども達には、言葉で説明するより、目の前で見せてあげた方が早いです。
先生2名で「〇〇先生が〇〇先生のあとを追いかけるよ」と輪唱を見せてあげて下さい。
子どもをAチームBチームと分けての活動には、先生それぞれがパートリーダーとして入ります。慣れたら指揮だけで歌えると、ますます良いですね。
輪唱すると、歌に伴い動きのカノンにもなり、不思議なムードに包まれます。歌い終わったあとには、余韻が漂っています。
他にも、
「とうりゃんせ」「かわのきしのみずぐるま」など、うたそのものが美しく、芸術性を感じる曲がたくさんあります。
美しく不思議なメロディに、子どもも惹きつけられることでしょう。
教育家のシュタイナーも、低学年で鍵となるのは「5度の気分」として、五音音階の音楽を勧めています。
長音階ではしっかり主音で着地するのに対し、5度は漂う気分であるということです。
漂う気分のわらべ歌は、子どもにとって、気持ちがよいものなのです。